〜読売新聞より抜粋〜
いわゆるFX(外国為替証拠金取引)の取引業者は、現在約130社もあるという。政府はさすがに、取引記録の提出の義務付けを検討していると報じられているが、これは、むしろ遅きに失した「当たり前」だと言っていいと思う。
今や銀行の為替取引のデータを見るだけでは、為替市場全体の動向(どんな人がどれくらいのリスクを取っているか)が分からないし、FXは大きな金額が動く取引なので、たとえば、FX業者を取り込むことができれば、無税あるいは表に出ない形で、実質的な金銭のやりとりができてもおかしくない。上場株の取引のように、誰がどこでいくら売り買いしたかがきちんと追えるような仕組みが必要だし、情報の透明性が増すことは、ほとんどの参加者にとってプラスに働くはずだ。
FXは、いささか性急だった規制緩和でできた規制の空白地帯に誕生し、あれよあれよという間に業者の数と取引量が増えた。
FXの普及の背景には、まず、外国資本の銀行も含めて、外貨預金という商品が為替手数料と金利の両面で、あまりにも個人に不利な商品であることに原因があった。
また、規制のないところで、証拠金の何十倍もの(100倍というケースもあるらしい)取引が実質的に可能になり、投機としての面白味が増したことや、過去しばらくの間、米ドルと日本円の為替レートが安定した中で、金利差から考えられるよりも円安傾向であり、素人の参加者がもうけやすい環境だったこともある(注:素人の参加者は圧倒的に外貨の買いのポジションを好む)。
だが、ここしばらくの円高では、大きな損失を出している個人が相当の数いるらしい。これを機会にFX業者の淘汰(とうた)も進む可能性がある。
また脱税事件ではあったが、FXで大もうけした主婦などの一般人がメディアで取り上げられたことも、FX人気に拍車をかけた面がある。FX取引での利益は課税上は雑所得なので、年間20万円以上といった条件を満たした場合は、申告して納税しなければならない点に注意が必要だ。
ともかく、「ネットにつながったパソコンがあれば、あなたの書斎がカジノに早変わりします!」というような状態ができ、これが普及した。その後、金融商品取引法などで、他の金融商品取引と同様の包括的な規制を受けるようにはなったが、FX業者がこれまでに獲得していたビジネス上の既得権は、十分守られた状況が続いている。
筆者は個人的に、投機やギャンブルそれ自体が悪いものだとは思わない(ちなみに筆者は長年の競馬ファンだ)。個人が事情を完全に分かった上で、自分の責任で行う分には反対しない。しかし、FXを投資や通常の資産運用だと思って利用することには反対だ。
外国為替のリスクは、株式や債券のように資本を提供して、その見返りを取るというような「投資のリスク」ではなく、ゼロサム・ゲームに近い「投機のリスク」だ。「リスクを取ると平均的には稼げるだろう」というハイリスク・ハイリターンの原則が通用しない。
これは、たとえば自分が米ドルを買うときに、自分にドルを売って円を買ったはずの参加者も、為替変動のリスクを負っていることを考えると分かるだろう。また、外国為替に関する理論価格は、それ自体が存在しないわけではないが、株式や債券よりもはるかに複雑であり、専門家の予想も当たらない。結果的に当たる専門家がいないわけではないが、その専門家が誰なのかは、素人にも専門家にも分からない。
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/yamazaki/at_ya_07113001.htm
テーマ : FXは始める時が大切です。 - ジャンル : 株式・投資・マネー